その日は突然やってきました。
その社長とは、昨日一緒にお客さんのところに営業に行って、そのついでに工事の手直しもしてきました。
私が途中入社で何もわからないでいた時のこと、部署の工事部隊の長として彼は現場から戻ってきました。
当時の彼の役職は課長。
全くの未知の分野への途中入社でしたので
何もかもがチンプンカンプンの私は、
現場から戻ってきた 20才も年下の青年課長に
質問をぶつけてみました。
その分野とは、当時まだ始まったばかりの太陽光発電工事事業の営業。
通常は、わざと分かり難い専門用語を使って、「この世界は難しいんだ」 とアピールしがちです。
ところがその青年課長は素人がわかる言葉に置き換えて、理解しやすいように丁寧な説明で答えてくれました。
しかも実に爽やか。 炎天下の屋根の上で、まる一日汗をかいてきたことを微塵にも感じさせない態度。
「この男にはついていける」
一瞬で 「この男を成功させてやろう」 と心に決めたのでした。
それからは、何かにつけ相談し合いながら部署を大きく育てていきました。
営業面は私が見て、技術面は彼が対応していきました。
課長は事実上のトップとして、その他のこまごましたことまで、何から何まで責任を持って対処しておりました。
声も大きく判断も早く、その判断は概ね当たっていました。
いつもポジティブで、負ける気のしない人生のような人でした。
会社の人事が社員の息の根を止めるかもしれない
やがて3年が経ったころ、その部署を法人化独立する という話がもち上がり、新会社の社長に青年課長が抜擢されました。
今から思えば、その時が彼のターニングポイントでした。
いきなりの社長職です。
私は、会社としての経理を完全に掌握させてもらえるよう、
最初に交渉するようアドバイスしましたが、結局は経理は親会社管轄となりました。
嫌な予感が最初からありました。
完全に言われるままの会社となってしまうからです。
一事業部と何ら変わらず、赤字になれば潰されるだけです。
自分で会社を興そうとするタイプの人であるならば、
マーケテイングのセンスもあるでしょう。
しかし、この課長は技術畑 体力畑 の人です。
事業部発足時からメンバーを引っ張ってきた と言う理由だけで、
全責任を負う立場にされてしまいました。
そこまでのセンスも経験も持ち合わせていません、当然です。
日々をどう振る舞っていいかもわからず、
妙に背伸びをしたり高飛車に出てみたり、
日に日に彼の良さがどんどんなくなっていきました。
就任から半年で、笑顔に自然さがなくなっていきました。
社長としての考え方や資金繰りの仕方、
外の会社や団体への接し方 心得など、
親会社の役員からは必要なことを何一つアドバイスしてもらえず、
実績だけを追求され、精神的におかしくなっていったのだと感じました。
笑っても顔の半分しか表情が変わらず、明らかに病人でした。
出来るだけ二人だけで外に出かける用事を作り、
しばらく休むよう伝えたり 物事を正面から受け止めないよう
いろいろ尽くしたつもりでしたが、彼の心を癒す力は私にはありませんでした。
あれだけポジティブな男が半年でおかしくなり、
だんだん決断も遅くなっていきました。
就任から約一年後のあの日、私が午前中に営業に出かけるとき、
彼は苦しそうな それでも笑顔で 「行ってらっしゃい お願いします」
と私を送り出してくれました。
暗くなってから会社に戻ると、彼はもう帰ったとのこと。
「珍しいな !」
翌朝、親会社の役員たちの様子がおかしく、何事かと思っていたら、
「彼は、当分出社しないから」
との言葉だけでした。
おととい一緒にお客さんのところに営業に行って、そのついでに工事の手直しもしてきたのに。
昨日だって 「行ってらっしゃい お願いします」 と送り出してくれたのに。
彼は “鬱病” にかかっていました。
かなり重症だったそうです。
私は、彼を 「この男を成功させてやろう」 と
彼のために50過ぎからの人生を投入しようと思っていたのですが、
彼の力にはなってやれてなかったことに悔いました。
私の力の無さも本当に申し訳ない事ですが、
“ド素人” を矢面に立てて、
何のフォローもしない、組織の恐ろしさと残酷さも知ることとなりました。
大好きだった彼は、結局親会社から退職勧告を受け、従ったそうです。
社長とは言え、普通のサラリーマンでした。
役職が上がったが故の、容赦のない責任で社会から潰されたようなものです。
会社に残る事は、本当に良いことだろうか
人には、向き不向きがあります。
社長になったから能力がある という事はありません。
人事の決定権を持つ人はその判断いかんによって、
本人と家族を路頭に迷わす事になることをはっきりと認識するべきです。
その人の隠された力を引き出すための人事と、
他にいないからコイツに任せよう 程度の人事では、全く違います。
サラリーマンを使って利益を上げようとする経営者サイドの考え方と、その意向に逆らえない立場の従業員。
例え社長であっても言われたとおりにしか動けない苦しさ。
言われるであろう言葉を気にするあまり
自分の判断で、自由に動けない辛さ。
そんな、若者に襲い掛かった現実を目の当たりにして
私は、サラリーマンをいつ辞めてもいいように
一人で稼ぐことのできる技術を身に付けようと思いました。
もちろん、黙っていても定年が近づいていました。
今からでも動かなければ私も家族も大変な目に合う と、本気で思うようになりました。
このブログでは何度も紹介していますが、私の最初の選択はアフィリエイトビジネスです。
たった一人で出来る仕事なので
いきなりの人事も、無茶振りの実績追及もありません。
いつ、どこへ行っていても、何をしていても自由です。
実は、それから一年後
その矛先が私に向いていました。
やる気を無くしていたし
かつての勢いがなくなっていた私に対して
会社も部署のメンバーも冷たく当たるようになっていきました。
あの時、決断を遅らせていたら、今頃彼と同じようにされていたかもしれません。
もちろん社長と言うポストが私に来るはずもありませんが・・・
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